ピロリ菌ってみなさんも一度は耳にしたことがあると思うんですけど、どんな症状で、どんな治療法なのか詳しく解説していきますね。
目次
ピロリ菌と胃の病気
皆さんはピロリ菌という言葉を聞いたことがありますか?
ピロリ菌は正確には「ヘリコバクタピロリ菌」という名称で、強酸性の胃酸の中でも自身を守りながら胃に生息している菌です。ピロリ菌が発見されるまでは、強酸性の胃酸の中で生息できる菌など存在しないと言われていましたが、1980年代前半にオーストラリアの2人の科学者がピロリ菌を発見し、それまでストレスや食生活が原因を言われていた胃炎や胃潰瘍の原因がピロリ菌であると突き止めました。後に2人はノーベル生理学・医学賞を受賞していますが、それまでの胃炎や胃潰瘍の治療がひっくり返るほどの大発見でした。
ピロリ菌の感染源
ピロリ菌は土壌に生息しており、口から口や便から口、または水や食物などを介して、幼少期に感染すると言われています。衛生状態の良くない状態での感染率が高いといわれており、日本は先進国の中では比較的感染率の高い国でしたが、上下水道の普及に伴い感染率は徐々に低下しています。
ピロリ菌が引き起こす疾患・症状
このピロリ菌ですが、主に胃の中で様々な疾患を引き起こします。
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慢性胃炎
幼少期から胃の中で生息しているピロリ菌が、胃の中に慢性的な胃炎を引き起こす慢性胃炎という病気があります。胃痛や胃部不快感などの原因となります。
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消化性潰瘍
慢性胃炎がさらに進行すると、胃潰瘍や十二指腸潰瘍などを引き起こします。現在は胃・十二指腸潰瘍のほとんどの原因はピロリ菌と言われています。腹痛や吐き気の症状を引き起こし、ひどくなると潰瘍から出血したり、胃や十二指腸の壁に穴が開く穿孔(せんこう)を起こし緊急手術になることもあります。
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胃がん
慢性的な炎症によりがんが発生する「炎症性発がん」という概念がありますが、胃においてもピロリ菌による慢性胃炎から胃がんが発生しやすくなると言われています。したがって、胃がん予防の第一歩はピロリ菌を治療することです。
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胃リンパ腫
ピロリ菌はマルトリンパ腫という血液の腫瘍の原因になるとも言われています。ピロリ菌を治療することによりリンパ腫の治療を行います。
このようにピロリ菌は様々な疾患の原因となりますが、お薬での治療でこれらの疾患の予防や治療が可能です。皆さんも一度はピロリ菌の検査を受けることをお勧めします。当院ではピロリ菌の検査や、胃カメラによる胃の病気の診断・治療も行っていますので、お気軽にご相談ください。
次回はピロリ菌の検査法と治療法についてご説明します。